あまりにも暑いのでスキー場の話題

Photo: Snow trees 2010. Nagano, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

Photo: "Snow trees" 2010. Nagano, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

あまりにも、むしむしむしむし、暑いので、雪景色を載せてみる。この季節にスキー場の話でもないが、涼しげな話が書きたい。


今年の冬、たまにはスキーに行きたいなと思っていると、日帰りで行ってみないか?という友人である、ならず者サーファーからの誘いが。ガーラ湯沢という、あんまりにもあんまりな響きのスキー場にやや躊躇したが、電車とリフト券を一緒に手配できてしまう便利さに負けた。

実際に行ってみると、ガーラ湯沢って快適だった。JRの窓口で入手した乗車券と、スキー場用のクーポン券。それにウェアとカメラ、持ち物はそれだけ。大船軒の「鯵の押し寿司」と新きねやの「牛肉どまんなか」という、二大メジャー駅弁を入手したら、飲みながら電車に乗っていれば、スキー場のゴンドラ駅まで行けてしまう驚き。どちらの弁当も、名前だけは知っていたが食べるのは初めて。有名な駅弁て、そつなく美味しい。


ガーラ湯沢駅は、改札の外がそのままスキー場のゴンドラ駅になっている。スキーレンタル、ロッカールーム、土産物、浴場とひと揃い施設が揃っていて、しかも、スキー自体が大人気というわけでもない昨今では、平日に思いつきで行ってみるには丁度良い人手だった。かつては沢山の資金が投じられたんだろうな、と思う設備を、けっこうリーズナブルな価格で利用できるというのは、不景気の副作用。

エキスパートレンタルの靴が、存外良い感じのもので、テンションが上がりながらゴンドラに乗ってゲレンデへ。ガーラ湯沢のレンタルスキーには、通常のものと、エキスパートレンタルが選べるが、腕前がエキスパートじゃなくても、是非エキスパートレンタルにすることを勧めたい。ブーツも板も、そのシーズンのものが使えるので、へたりも無いし、とても快適だ。少なくとも、昔は自分の板で滑っていた、という人なら、誰でもエキスパートレンタルで値段以上に満足できると思う。


で、友人はスキーは滑れるのだが、今回はスノーボードデビューするのだと言う。サーフィンもボードもだいたい同じだろう、という理論らしい。僕は、スノーボードを教えるような腕は無い。大丈夫なのか?という問いに

「Web で調べてきた」

と平然と答えた。そういう問題なのか。

ゲレンデに出てみて、とても面白かったのが、その友人が本当にサーフィンのノリで、斜面に飛び出していった事だ。ボードに初めて乗ったときに、谷側に切っ先を向けるのが、どれだけ怖かったか、思い出してみて欲しい。しかし、サーファーはまさに”No Fear”に斜面に向かって加速していくのだ。流石、Web で調べてきただけのことはある。


スキーで彼の後ろを付いていきながら、予想外の上達の速さに驚く。しかし、直滑降は巧いのだが、いまいち、ちゃんと曲がれないようだ。よくよく聞いてみると、ゲレンデの端の崖が怖いらしい。

「だって、海に崖はないからさ」

なるほど、そういう問題なのか。


サーファーには適宜滑って貰いながら、僕も冷たい空気と、初めてちゃんと乗るカービングスキーを楽しんだ。ガーラなんていう名前から、全部ファミリーゲレンデじゃないかと危惧していたが、実は、頂上あたりのコースは結構難易度が高くて、楽しかった。

思いつきで、そんなに高くなく、来れる。ガーラ湯沢を、僕はもの凄く見直したのだった。

で、サーファーの”No Fear”な滑りに僕は驚いていたのだが、知らないうちに彼が骨折していて、しかも、本人はその事実に数日気がつかなかったことにはもっと驚いた。

鍋屋のランランの磁器

Photo: replica china 2009. Beijin, China, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

Photo: "china replica " 2009. Beijin, China, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

北京で鍋屋のランランが見せてくれた磁器。晩冬の北京の、弱々しい太陽に照らされている。

さる貴族が用いていた家財の一つだ、とランランは言っている様だったが、すり切れた敷物の上に重ねて置かれたそれらは、もちろん後代のレプリカだろう。しかし、逆にレプリカだからこその本物感というか、今の北京の日常の空気感、みたいなものを感じてしまう。


薄寒い部屋の中で、ランランはそうした、安っぽいレプリカを、一つ一つ一生懸命に説明してくれた。僕は、彼女が何を言っているのかさっぱり分からなかったが、その一つ一つを丁寧に写真に撮った。


去年の年賀状には、この写真を使った。最近は、年賀状を送ってくれた人にだけ、時間をかけて手作りで返すようにしている。

送った一人から「和で雅な感じ」という感想をもらって、そういえば、写真に何の注釈も説明も付けなかったことを思いだした。中国の焼き物が感じさせる和。

日本の焼き物の源流が、中国をルーツとしていることを、そのレプリカはちゃんと感じさせたと言うことなのか。

昭和の喫茶店とナポリタン

Photo: show case 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "show case" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

昭和は既に遠くなったか。でも、この鎌倉駅近くの、昭和テイストの喫茶店には客が引きも切らない。

そこに求めるのはアトラクションなのか。であれば、既にそれが日常ではなくなってしまったということか。昭和は既に遠くなった。


などと考えて、ふと見れば、下町であるところのうちの近所にも恐ろしく昭和な感じの喫茶店がある。

しかも、そこはアトラクションとしての昭和ではなくて、リアルの昭和がある。で、なんというか怖くて入れない。夏はレーコーが主力商品だろうし、禁煙でも分煙でもないだろうし、週間なんちゃらみたいな雑誌とスポーツ新聞が常備されているに違いない。


たまに通りかかると、近所のおじちゃん達が結構入っている。怖々看板を見てみると、モーニングとかやってる。個人経営の喫茶店でモーニングを食べたのは、名古屋で一度だけだし、名古屋でモーニングと言えば観光客にとっては十分アトラクションだ。やっぱり、トーストとゆで卵とブレンドみたいなセットなのだろうか。ちぎったレタスに、酸っぱいサウザンアイランドドレッシングがかかっているのだろうか。恐ろしい。

でも、ナポリタンみたいなものがあって、メロンソーダ的飲み物があるなら、日曜の午後にちょっと行ってみても良いかもしれない。週間新潮とか読みながら、ナポリタンを食べるのだ。やっぱりアトラクションだな。