思いもよらない支持者

Photo: “Khao Yam.” 2025. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.
Photo: “Khao Yam.” 2025. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.

ごく日本風にArrangeした高級タイ料理、というのに惹かれて、この店を選んだ。面子は3人。取引先で今度実質的な社長に昇格するIさんと、それとはまた別の会社の社長 Tさん。会はTさんが設定してくれて、店は料理と酒にとことん人生を費やしている彼女のリストから選ばせてもらった。

Iさんの昇格祝いを兼ねているのだが、そのIさんは、実は当初そんなに印象に残る人ではなかった。現場に来ているちょい偉い人、ぐらいの認識。そんな彼が、僕を評価してくれていて、影のサポーターであった事に、最近まで気がつかなかった。「あの人、凄いファンだから。」Tさんから、そう教えられたのは、出会いから何年か経ってのことだった。自分が気がつかないところで、自分を助けてくれている人が居る、そういう事は人生の勇気になる。


日本の素材をタイ料理の手法で処理し、日本のやり方で仕上げる。そういうレストランというのがどれ程あるのか知らないが、僕にとっては初めてのものだった。古代米、鮟鱇の肝、苺、ナッツ、レモングラスなどによるKhao Yam。見た目の美しさ、だけではなくて、混ざった素材のバランスが秀逸。少しのナッツが、タイ料理の感じを高める。

タイ料理の味わいが含められていて、それでいて、日本の素材でできている。タイ料理じゃない素材を組み合わせて、でもこれはタイ料理だね、という感じがちゃんと出ている。遊んでいるという感じがする。好奇心を忘れないで、いろんな新しい組み合わせに挑んでいく、楽しいディナーだった。Tさんから、料理にココナッツオイルを使うと、ちょっと新しい世界が見えるとか、そんな事も教わった夜だった。

自分の昇格祝いも兼ねた席に、お土産としてお気に入りの最中まで持参したIさんは、きっとうまくいくと思う。

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