レコードや、銀塩フィルムが、一周回って贅沢品になったように、紙の本も趣味と贅沢を示すものになるのだろう。カセットテープだって、今や贅沢品だ。
僕は買いたかった本が、Kindleでセールになっていると、迷わず積んでいくタイプだが(ホームスクリーンにある唯一のショートカットはKindelの本日のセールだ)、写真集は買う気になれない。写真集は、紙で買っていこうと思う。
まだ見ぬソール・ライター(THE UNSEEN SAUL LEITER)は、A4で160ページ。その割に安いと思ったら、中国での印刷だった。こういうものは日本の十八番というか、最後の牙城だと思っていたが、最近はそうでもないらしい。印刷の品質は文句なくて、物理的な質感を伴って写真を見られる、という当たり前を見直すような気になった。解像度だって、Retinaより高くて、画面は大きいのだ(間違った表現だと思うが)。
印刷物は素晴らしい。しかし、そうはいっても、やがては廃れるのだと思う。電子制御のオフセット印刷とは行っても、物理が絡むところにはなんらかの、職人的な技術がある。そして市場が失われれば、合わせて印刷技術は失われる。
それはともかく、紙の本を敬遠した時期があったのだけれど、もっと買っていこうと思う。あえて。