新宿二丁目

Photo: 二丁目 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

Photo: “二丁目” 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

新宿二丁目。本当に行ったことがある人は、どれぐらい居るのだろう。自分から「行ってみよう!」というのは、多分あんまりなくて、行かなければ行かないで、そのまま一生過ごせてしまうのではないだろうか。あるいは、それは、ただの都市伝説なのか。

しかし、新宿二丁目は実際に存在するし、今夜も不夜城のごとく絶賛営業中だ。場所的には、伊勢丹裏に広がる飲み屋街から、さらに奥に行ったところ。新宿御苑から北に数ブロック行ったところ。新宿三丁目と、新宿一丁目の間。当たり前だ。


そもそも、僕が初めてその店のドアを開けたのは、なんだったっけ。忘れてしまったけれど、その店の常連の友人と飲んでいたことがきっかけだったと思う。新宿西口のみずほ銀行のあたりでタクシーに乗せられ、気がついたら二丁目で降ろされていた。

古い雑居ビルの急な階段を登り、年季の入ったドアを開けると、熊五郎みたいなオヤジがカウンターの中に一人。お客は、男女数組、男の方がやや多いか。言うまでもないが、この場合、熊五郎がママだ。

ここは、業界で言うところの観光バー。つまり、ノーマルの(ノンケの)男も、フツーの女子も、入れる。店の中に怪しげな本やら物体やらなんやらが転がってはいるが、客が手を出されることは無いそうだ。食べ放題のお通し(煮物なんかが多い)と、何が入っているのかよく分からない水割り、いつもカウンターの一角を陣取っている新宿在住の常連の女、イタリアで男を引っかけた話をまたもや始めるママ。そういう感じで夜は更ける。


マスターの気に入らない女は、なんとなく優先的に潰されているような気はしないでもないが(明らかにそうだ)、男も女も、身の危険は感じないで飲むことができる。はずなのだが。

一緒に飲みに行ったイケメンがカウンターの一角で寝込むと、ママはなにやら携帯で寝姿を撮影したりしているぞ。それどころか、なんか触ってるし。やはり、適度に危ない場所なのかもしれない。