中庭

Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa

Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa

中庭。

「佐賀町エキジビット・スペース」の正面入り口、受付カウンターを「くぐって」ベランダに出ると、この中庭を一望することが出来る。

中庭、という空間は不思議な場所であって、そこには閉じた時間のようなものが、流れている。かつて、日本中から米が集められ、仲買人達がこの庭で商品を吟味した。目利きのためには、太陽の光が必要だったのだ。そして、それも今は昔。


窓枠にも、あるいは、中庭を囲む回廊の柱にも、優美なアーチが用いられている。建設当時は、もしかしたら、ちょっとお洒落すぎる建物だったかもしれ ない。それでも、70年以上の時を経て、建物は成熟した。ボロくなった、というのとは少し違う。手入れをされながら、ゆっくり年老いた建物。そして、そこ には生活する人たちの匂いがしっかりと染みついている。

そんな感じ。


注:本来、ベランダに出てウロウロしてはいけないようだ。ガードマンのおじさんに見つかると、かなり怒られる。

食糧ビル

Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa

Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa

冬、12月。

江東区、佐賀町。

食糧ビル。

水天宮前で地下鉄を降りる。箱崎の IBM を横目に見ながら、隅田川を目指して歩く。どんよりした曇空を映す川を渡り暫く歩くと、この古めかしい建物、食糧ビルが現れる。


その日、ファインダーを通して覗く世界は薄暗く、風は冷たかった。寒さと疲れで体は痛み、感情は後退し、理性だけがクリアに動いていた。そんな気分で撮った写真をこれから何枚か、紹介していきたいと思う。

シリーズ、江東区佐賀町、はじまりはじまり。

1秒間の東京

Photo: 2000. Tokyo, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film

Photo: 2000. Tokyo, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film

レンズが見た、1秒間の東京の風景。

この写真を撮った都庁の中央広場は、僕の通勤ルート。夕方を過ぎればカップルが、ぐるりと広場の外周を取り囲む。人びとが、なんとなく惹かれ、集まってくる場所。


大きな建物は、心の中のなにかをくすぐる。僕がいままで足を踏み入れた建物の中で、最も印象的だったのは、バチカン大聖堂。その壮麗さと、スケール、凝縮感。それに比べるものではないが、新宿副都心の高層ビル街と都庁の織りなす風景には、いくらか、見るべき物がある。

あまり関係ないけど、次は、イスタンブール(トルコ)のブルーモスクに、行ってみたいなぁ。