板橋駅の(素晴らしい)ビッグマック

Accurate Big Mac

Photo: “Accurate Big Mac ” 2015. Itabashi station, Taiwan, Apple iPhone 5S.

毎度おなじみ、現地のマクドナルドでビッグマックを食べてみるシリーズ。期待高まる、台湾のマクドナルド。空港から新幹線に乗り換える、板橋駅で電車の待ち時間を利用して食べてみた。

改めて説明すると、マックのメニューの中でもビッグマックは僕の好物であり、かつ、だいたいどの国のマクドナルドにも存在している(インドには無かった)。ただし、材料の仕入れと調理・組み立ては、現地の方々が現地の感性で行うので、ユニバーサルなメニューで有りながら、ご当地感がにじみ出てしまう。だから食べ比べると面白い、安いし。

さて、台湾のマクドナルド。オーダーは英語でフツーにOK、接客は至って丁寧。Twitterで流れているようなコスプレを店員さんがしている、というような事は、もちろん無いよ。


出てきたビッグマックは、パンズのふわり感といい、レタスの刻みといい、組み立ての正確さといい、文句が無い。本家アメリカの雑なビッグマックを軽く凌駕するばかりか、日本で「当たり」の時のビッグマックも超えているかもしれないクオリティー。この後乗った新幹線のクオリティーも驚いたけど、これも凄いね。こんな温かい所で、こんな精密な仕事が。

あと、なにげにポテトもカリッと良い感じだった。

北京のビッグマック

Photo: "北京のビッグマック"

Photo: “北京のビッグマック” 2009. China, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

旅の始まりはマックと決まっているので、荷物を置いたら早速マックに行ってみる。実際、腹が減っていた。新宿歌舞伎町の深夜のマックのように、北京の深夜のマックにもどことなく荒れた雰囲気が漂っていた。お客の殆どは、始発待ちの若者のように見える。机に突っ伏したままの男や、クラブ帰りの(そんなものがあるのかは知らないが)グループや、カタギっぽくないオッサンとケバイ女子、入り乱れた客層。


バイトのスタッフは、不機嫌を顔に貼り付けたように無愛想なオバチャン(ヨネスケに似ている)と、熱心に掃除らや片付けやらをしているおっチャン。 奥で、やる気無くハンバーガーを組み立てる社員風の店員が一人。社員とバイトは多分制服が違うのであって、見ているといくら忙しくても社員はバイトの分担と思われる仕事には決して手出しをしない。資本主義の権化のようなマックでも、北京では官僚主義のルールが支配しているのだろうか。若い、顔立ちの整った店長が不機嫌な顔でレジを締めている。


行列の存在しないカウンターで、割り込んだり割り込まれたりしながら、ビッグマックとプライドポテト、そしてコーラを頼む。というか、それしか頼めなかった。英語は潔く通じない。飲み物は訊かれなかったが、どうやらコーラ一択というシステムのようだ。潔い。ショップの中には、ずっと公安警察(日本の警視庁)の人間が居る。別に何を取り締まっているわけでも無さそうだが、飲食物に金を払っているようにも見えないし、ただ休憩をしているだけにも見えない。カトラリーボックスの中をいじったり、店員と談笑したり、時折携帯で電話を受けたりしている。まっとうな勤務をしているとは、やはりとても思えない。あるいは、彼らが居ることに、24時間営業できる理由、のようなものがあるのかもしれない。

フライドポテトは、食べていて嫌な予感がしたので、途中で食べるのをやめた。が、やはり時既に遅く、酸化した油のお陰で手が痒くなってくる。ビッグマック自体は、なんというかちょっとパサパサで薄味な気がしたけれど(元からそんなもの、という気もする)、景気よく入ったレタスのおかげで、あの写真に 結構近い仕上がりになっていた。もう眠い。3元のミネラルウォーターをヨネスケから買い、帰途につく。


栓が出来ない湯船に、風呂をあきらめて、眠る。贅沢なクラスのホテルではないけれど、ベッドは広いし、特に不満のある部屋ではない。水が無いのが、ちょっと困る。40元で2リットルのエビアンがおいてある、円換算で500円ぐらいすると、やっぱりちょっと高く感じてしまう。 明日、商店が開いている時間に、水をしこたま買っておこうと思う。暖房を消して寝ると、凍死しそうな気がしたので、マスクをして暖房は入れたまま寝ることにする。前回、あまりの大気汚染に鼻血を出した苦い経験から、マスクは山ほど持ってきたのだった。

夜の北京は、予想外に静かだった。クラクションの音も聞こえない。空港からここに至るまでの間に、もう僕の中の日本の空気は薄くなり、北京の空気に入れ替わる。明日目覚めれば、違和感もだいぶ薄れるに違いない。

マックを家でいただく

Photo: なんだこのビールは? 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

Photo: "なんだこのビールは?" 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

マックを家で食う、ということには色々なメリットがある。バイトのポテトの塩振りが甘くても、自分で好きに味付けできる。仏産の天然塩で塩味をつけるとか、有機なケチャップを付けるとか、全て自由。(ジャンク + 良い調味料はウマイ)

それにアルコールを出さないマックでは不可能なことだが、油まみれのあのメニューには断然ビールが合う。栄養バランス的には、まったく最低のビック (メガ)マック・ポテト・ビールという組み合わせも、持ち帰りならではの技。この組み合わせは、特に飲んだ後などに、衝動的に買ってしまう危険な組み合わ せ。


帰りがけ、夜中のマックに近寄ってみる。

カウンターの上にはダンボール入りのアイスクリームコーンが放置され、フライヤーの脇にはポテトがカゴに入れて積みっぱなしになっている。カウン ターのこちら側は、ギャル男を筆頭に、電話としての原形をとどめないデコ電をいじる女、やや酔ったリーマン(俺だ)等々、荒んだ客層。「北斗の拳」か。

家マックの誘惑はあるが、今日はやめておこう。何か危険な臭いがする。あの積みっぱなしポテトが出てきたらショックだし。